Peter Vogel CMI / CMI ProがAudioBusに対応 – iPadで動く80年代の初期サンプリング機Fairlight CMIアプリ

起動した後に表示されるPeter Vogel CMIのメイン画面。ここから各画面へ。

起動した後に表示されるPeter Vogel CMIのメイン画面。ここから各画面へ。往年のFairlight CMIっぽい雰囲気が嬉しくなる。

僕が時々iPadで使っているFairlight CMIのサウンドを実現するアプリPeter Vogel CMIがアップデートし、AudioBus対応になった。僕も愛用しているアプリで良いきっかけだから、紹介記事を書くことにする。

往年の名器Fairlight CMIのサウンドがiPadやiPhoneで

このアプリがエミュレートするFairlight CMIとは黎明期のサンプリングマシンの名器で、The Art of NoiseやYes、ピーター・ガブリエル、ケイト・ブッシュ、坂本龍一…と80年台のビッグネームに多く使われたマシンでもある。Peter VogelはこのオリジナルFairlight CMIの開発者でアプリも最初はFairlightの名前を使っていたが商標権の問題から「Peter Vogel」に改名している。(ちなみにPeter VogelはCMIのハードウェア復刻版もリリースしている)

Fairlight CMIは80年代にThe Art of NoiseやYes, Peter Gabriel, Kate Bush等、数多くの有名ミュージシャンに利用された黎明期のサンプリングマシン

Fairlight CMIは80年代に有名ミュージシャンに利用された黎明期のサンプリングマシン

AudioBus対応などのアップデートで「扱いにくさ」が解消された

この「伝説の名器」ともいうべきFairlight CMIをiPhoneやiPadで利用することができるアプリ!…と意気込んで使い始めたのだけど、若干扱いにくかったのも事実。Core MIDIやCore Audioは当初から採用していたのだけど、iPad内でオーディオを録音・保存する方法が無かったため。

今回のバージョンでAudioBus対応となったため、CMIの音をCubasisなどのDAWで録音して作品に活用することや、演奏した音を録音してオーディオファイルとしてMacに渡すことも楽にできる。

新バージョンで特筆すべきなのは、やはりAudioBus対応

新バージョンで特筆すべきなのは、やはりAudioBus対応

また、AudioBusの良いところとしてエフェクターを使えることもある。というのは、Peter Vogel CMIアプリにはエフェクター機能がまったく無いので、そのままの音だとスッピンすぎて使いにくい。ちょっと弾くときにもリバーブやエコーなどのエフェクターを使うと結構聴きやすい感じになる。iPadアプリを「思ったより大したことの無い音」だという意見を耳にすることもあったが、やはりエフェクターでかなり印象が変わる。

Fairlightのオリジナルライブラリが、最大の魅力

Peter Vogel CMIアプリで一番魅力的なポイントは、やはりオリジナルのFairlight CMIに付属していたサンプル・ライブラリが多数付いてくることだと思う。Peter Vogel CMIには通常版とPro版が用意されていて、ライブラリは通常版はFairlight IIxの564点、そしてProにはそれに加えてFairlight IIIのライブラリから選んだ100のサウンドが追加されている。

どれを聴いても、かなりローファイ感がある音…というのも、最初のライブラリ収録時は8bit 30.2kHzというかなり低い性能だったことによる。またサウンドループもかなりラフで持続音でプチプチいっていることも多い。そうしたサウンドを「面白い」、「レトロで魅力的」と思うか、使いにくいと感じるかでかなり評価が変わってくるかもしれない。

一番のメリットは往年の名器Fairlight CMI IIxのライブラリ音がすべて入っていること。Pro版ではさらにCMI IIIのライブラリ・サウンドも一部含まれる。

一番のメリットは往年の名器Fairlight CMI IIxのライブラリ音がすべて入っていること。Pro版ではさらにCMI IIIのライブラリ・サウンドも一部含まれる。

ちなみに、一番気に入っている音はHUMAN 1 #22に入っているSARARRという声のサウンド。これは個人的に好きなThe Art of Noiseの曲「Moment in Love」で印象的に使われていることもある。現在の楽曲でも使いやすい。一世を風靡したオーケストラヒット(!)も勿論入っているが、ちょっと使いドコロは難しいかもしれない。他にもいろんなドラム系の音(どれもローファイ)が入っていて、これらを上手くサンプリングし、加工するのも面白いかも。そういう用途をするためにもAudioBus対応でかなり便利になった。

当時はスゴく未来っぽかった(らしい)波形の3次元表示など。現代からみるCMIはとってもレトロフューチャー。

当時はスゴく未来っぽかった(らしい)波形の3次元表示など。現代からみるCMIはとってもレトロフューチャー。

Peter Vogel CMI Proの他の機能

Peter Vogel CMI Pro版では、ライブラリサウンドが充実しているほかに、以下のような機能を利用できる。

  • サンプラーとして動作
  • Page Rシーケンサーの利用

Pro版ではPeter Vogel CMIをサンプリングツールとして利用することができる(それほど大胆なサウンド編集ができるというワケではない)。また、今まではマイク入力などからサンプリングをするにとどまっていたけど、最新版ではCMIをAudioBus経由でサンプリングすることもできるようになる。

また、Fairlightには独自のステップシーケンサーPage Rというモノがあり、Pro版ではそれを実際に使うことができる(通常版はデモ曲の再生のみ) 正直言うと、Page Rを使ったことがある…という人以外はそこまでグっとくる機能ではないと感じたり。

Peter Vogel CMIは通常版を購入した後に「アプリ内課金」でPro版にアップグレードできる仕様なので、迷ったら通常版 850円を入手し、後で必要に応じてPro版 4,300円にするのがいいと思う。

好みでかなり評価が変わるかも

Peter Vogel CMIについて思うところを述べてみた。面白いアプリなのだけど、操作には相当にクセもある。画面デザインがあまりにもオリジナル機を模しているので、場合によっては「使いにくい」と感じることも少なくないかもしれない。起動時に電源を設定し、合わない設定をすると煙を吹いたり(!)、音の読み込みには往年の8インチフロッピーの読み込み音がカタカタとなったり、フロッピー読み込みエラーが時々発生するなどの「オモチャ」としてのギミックもある。これらは設定で動作しないようにできるのだけど、音源ツールと考えていると無駄にイラっとさせられることもある。

ライブラリの項でも書いたけど、スゴいサウンドというよりも、サンプリング黎明期のすごく粗い、ローファイなサンプリングサウンドがやはり一番の魅力。そのあたりに興味がある方にとっては良い…と、ちょっと人を選ぶアプリかもしれない。

[参考リンク]

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